鉛筆画を中心に作品制作しています。
今回は、
「美のカケラ」を求めて
イタリア、マティエール美のカケラ
イタリアを訪れた。巨匠の仕事(作品)を違う角度から眺めると、新しい美に出会えた! |
フィレンツェを訪れました。
知る人ぞ知る、レオナルドダビンチ、若かりし頃の傑作「受胎告知」。
遠近法に関する技法が、
彼の中でまだ確立していない、
20歳頃の貴重な画風が味わえます。
『ルカによる福音書』からなる主題、
大天使ガブリエルがマリアを訪れ、
「神の子イエス」を授かった「受胎告知」の場面を・・・・。
という説明は、専門家にお任せして、
ここでは、少し変わったオススメの鑑賞法について、
ご紹介したいと思います。
通常、鑑賞する場合、
描かれた全体像が把握できるように、
なるべく正面に立って、
離れたり近寄ったりしながら、
鑑賞します。
描かれている内容やテーマの背景、
時代の特性や作家の生い立ち、
そして、テーマやコンセプトなどに思いを馳せながら、
いろいろな楽しみ方で鑑賞します。
ですが、
一度、違う方法で鑑賞してみてください。
なるべく画面に近づいて、
(監視員に怒られない程度に)
斜め下の方から覗いてみてください。
光が反射して画面の凹凸が見えるようになります。
筆の流れ、重ねられた絵の具の様子。
破損や修復の痕跡など。
ダビンチ(1452年 – 1519年)の晩年の多くの作品は、
筆跡を見つけるのが困難なほど、
スフマート技法が超絶的です。
◆スフマート技法:
色が変化する僅かな様子もわからないほど自然に、
透明な色の層を塗り重ねていく絵画技法。
しかし、この作品では、
まだまだ初期の制作ですので、
やや、筆跡や色の塗り重ねが残っているようです。
近づいて見てみますと、
顔や手の表情表現だけではなく、
布のシワの表現にも、わずかに筆跡が見えます。
その他、
画面の中だけではなく、
基底材(キャンパスや板など)に描かれた様子が現れやすいのが、
「端っこ」!
通常は、額縁に隠れて見えないことが多いのですが、
中には、露出している絵画もあります。
美術研究者や修復師らの専門家は、
この「端っこ」に注目して、
描かれた時代や作風、画材などを分析しているようです。
時代を経ているため、
なんとも言えない「エマイユ(émail)効果」が観察できます。
◆エマイユ:
本来は、ガラス質を陶磁器等の表面に付着させ、
加熱融解させる技法です。
油彩画等では、
不透明絵具の上に、透明(半透明)の絵具層を被せることで、
エマイユと同じように見える効果が得られます。
透明の層を通して、下の絵具の様子が感じられ、
とても美しい表現の一つです。
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