鉛筆画を中心に作品制作しています。
今回は、
鉛筆の選び方
「ケラ」
鉛筆画の命とも言える”鉛筆”!しっかりじっくりこだわって選びましょう。長く付き合う伴侶ですから愛情を持って末長く。 |
日頃使っているシャープペンシルや鉛筆の芯、
何からできているのか、知っていますか?
その芯は、主に、
黒鉛(グラファイトgraphite)と粘土でできています。
黒鉛(グラファイトgraphite)は、天然鉱物で、
石墨ともいわれ、ダイヤモンドや石炭の仲間(同素体)です。
石炭とは異なり、層状構造をしているため、
滑らかな描き心地が得られます。
良く「鉛が含まれているのでは?」と聞きますが、
鉛ではなく石炭系の黒鉛です。
ちなみに私は鉛筆を削る時は、念のため
削り粉を吸い込まないようにマスクをしています。
もうひとつの成分は粘土です。
黒鉛を芯として成形するための成分です。
低い温度での結晶化力、強さ、不純物の少なさ等の理由から、
ドイツ粘土が鉛筆には最適とされています。
https://www.mpuni.co.jp/pressroom/enshi/enshi.html
鉛筆は固さを記号で表示しています。
「H」は、Hard(硬い)
「B」は、Black(黒い)
「F」は、Firm(硬質な、引き締まった)
(「F」はHとHBの中間です。)
「H」と「B」の間が「HB」です。
粘土の割合を多く、黒鉛の割合を少なくすると
硬い芯。
粘土の割合を少なく、黒鉛の割合を多くすると
軟らかい芯になります。
ちなみに、HBの芯は、
黒鉛:粘土=65%:35%です。
実は、鉛筆の芯の濃さは温度に敏感です。
同じ固さであっても、
周囲の温度が高くなると濃くなり、
温度が低くなると薄くなります。
ところで、
私の鉛筆画の場合、
鉛筆の種類はHBだけを使い、
7種類の削り方で描いています。
モチーフの種類や描き方によって7種類の削り方で鉛筆を使っています。
また、
構想を練るクロッキーやデッサンの時と、
本番での描画の時で、鉛筆メーカーを変えています。
鉛筆メーカーは、STAEDTLER社と三菱uni社2種類を使っています。
三菱uni社のHBの方が、STAEDTLER社のHBと比べ、やや柔らかいので、
構想用は三菱uni社、描画用はSTAEDTLER社にしています。
削り方によって、線の表情が変わります。
※削り方については、「初心者・鉛筆の削り方」を参考にしてみてください。
鉛筆は黒一色です。
基本の扱い方は、とても簡単で、
小さな子供から、専門家まで、幅広く利用されています。
しかし、
黒一色で単純だからこそ、
削り方や描き方に注意しないと、
描いたというよりは、
まるで汚れたように見えてしまいます。
例えば、
壁に映る光の様子をグラデーションで描こうとした時、
徐々に暗くなっているのか、汚れているのか、
と、感じてしまうことはありませんか。
鉛筆は、自由に描ける分、
とても表現が繊細なので、
注意する必要があるかもしれませんね。
HBだけで描いています。
自分が描きたいものや、描く技法を考えて、
まずは、
色々な鉛筆を試してみてください。
HB以上の柔らかな鉛筆は、
黒い画面にしやすく、大胆な線や表情が得やすいと思います。
柔らかくなるほど、基底材(紙など)への色の定着が表面的となり、
深みのある黒やマットな深みが出にくくなります。
HB以上の硬い鉛筆は、
薄く細やかな線や面が得やすいと思います。
硬い鉛筆は、基底材(紙など)へのダメージが大きく、
混入材によって反射しやすくもなります。
微妙に描き重ねていく際も、
ムラが生じて色の美しさが保てなくなる可能性があります。
色々な種類を試す場合、
まずは、同じ紙で試してみてください。
鉛筆の色は、紙のザラつきに引っかり
黒鉛が擦り付けられる仕組みなので、
同じ条件で、違う種類で描いてみてください。
綺麗な鉛筆の色を最大限に引き出しながら、
モチーフのリアリズムに迫るために、
最適な鉛筆を選びましょう。
では、またお会いしましょう。
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