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鉛筆画を描く−6

Masa
「アートラピス」のMasaです。鉛筆画を中心に作品制作しています。

空豆
よろしくですにゃ

前回に続き、下記の工程で

「コンパクトと黒真珠の風景」を題材に、

どのように鉛筆画を描いているのかをご紹介しています。

鉛筆画の描き方を全6回でご紹介

1)構想を練る
2)下書きを完成させる
3)全体に色をまわす−1
4)全体に色をまわす−2
5)インクを加えて色調を整える
6)テーマとシーンに沿って完成させる

鉛筆画を描く

6)テーマとシーンに沿って完成させる

テーマ性やシーンのリアリズムが感じられるように、調整していこう。完成まで、もう一息!

 

 

伝えたい内容に特に留意 

あらかじめ設定しているテーマ性、設定したシーンの様子などが、

画面から伝わるかどうか、調整していきます。

 

形を整える 

これまで仕上げに向かって、

大きな形から細部の小さな形にかけて、徐々に形を整えてきました。

これらの修正には製図に使う定規(雲形、楕円、テンプレートなど)を使っています。

 

有機的な形状で、メリハリのある線や面をしっかりと整える場合には、

雲形定規などをガイドにして描いていきます。

特に、金属やガラスの場合、濃くて細い線を正確に引く必要がありますから、

とても便利です。

空豆
使うと楽しそうにゃ

モチーフには、

対称性、等間隔、規則性など、幾何学的な形状が多く含まれます。

この幾何学的形状部分に歪みがあると、

全体から受ける印象は、とても不自然なものとなります。

修正にあたっては、テンプレートや定規などを利用して修正していきます。

左右対称な幾何学形状については、

通常、センターラインを薄く引いてから、

定規を使って左右の寸法出しをすることで、

正確な形を割り出して整えられます。

しかし、描画が進んでくると、

余分な線は引きたくありませんし、

色も濃くなってくるので、

かなり濃い線でなければ見分けもつかなくなります。

 

そこで、糸を使って、画面の中にセンターラインを設定して、形を整えるようにしています。

鉛筆線で汚したり消しゴムで消すこともないので、便利な方法です。

空豆
ピンセットも使うのかにゃ?
Masa
細い糸を扱うのに便利なんです。

 

形の修正は、大きな形から細部の小さな形に向かって、

順番に整えていきます。

特に楕円については、

センター出しを慎重に行います。

 

マティエールを整える 

鉛筆画でも、油彩画と同様に、マティエールが大切だと考えています。

通常マティエールと言うと、

絵の具の盛り上がりや筆跡になります。

鉛筆には筆跡はあっても、盛り上がりはないのでは?

と、思われるでしょう。

実は、顕微鏡レベルでは、しっかりマティエールが存在します。

この凹凸が影響で、

光の照り返しやマット感、黒の色彩などが変わってきます。

 

「描画計画」でお話ししました描画方法はもちろんですが、

鉛筆を重ねていく工程で、このマティエールが生まれ、美しいか汚れに見えるかの違いが生じてきます。

鉛筆の固さの違いで、描画がどのようになるのか、比較してみました。

下記比較でもわかるように、HBが色の濃さや反射のコントロールに優れているので、私はHBだけを使って表現しています。

ただし、最初にもお話した通り、削り方を変える必要があります。

空豆
HBだけで大丈夫なのかにゃ
鉛筆の種類で比較

項目 色相 反射
5B 濃い色が容易に得られる

エッジが甘くなりがち

薄い色は苦手

マティエールは一番荒い

薄い色の段階から反射が始まる

細い線での描画が不得意なため、紙が押されて潰れやすい

3B 濃い色が容易に得られる

エッジが甘くなりがち

薄い色は苦手

マティエールは2番目に荒い

薄い色の段階から反射が始まる

B5よりは細い線が得られるが、やはり紙が押されて潰れやすい

HB 濃い色が容易に得られる

エッジがしっかりしている

マティエールが綺麗

薄い色から濃い色まで得られる

明度差がつけ易く、素材感が出しやすい

濃い部分はある程度光るが、全体に鈍さがある

細い線によって、紙表面のコンディションをコントロールしやすい

5H 濃い色が容易に得られる

エッジがしっかりするが薄い

濃い色は苦手

マティエールは細かい

明度差がつけにくので、素材感が出しにくい

 

薄い色の段階から反射が始まる

細い線が得意だが、紙表面のコンディションのコントロールは薄い色の時だけ

濃い色は紙自体にダメージが大きい

画面を斜めから見ることで、光の反射状況がわかり易くなります。

反射が大きい場所や、マティエールが乱れている箇所を、修正していきます。

また、光の流れを整えるために、各種類ごとに整理します。

その後、メインの流れが浮き上がるように全体を調整していきます。

このようになりました。

いかがでしょうか。

 

額を考える

作品は、収める額によってとても印象が変わります。

画家が伝えたい内容や印象、

購入する方の趣味嗜好などにもよりますが、

額の画面の向こう側に世界が広がって見えるようにセッティングしています。

額の画面からこちらに飛び出てくるように感じた場合は、

マットの色合いや、額自体のデザインを変更しています。

 

今回はこのようになりました。

いかがでしょうか。

今回の「鉛筆画を描く(コンパクトと黒真珠)」

いかがでしたか?

空豆
額に入れると立派に見えるにゃ

 

各段階での技術や考え方などに関しては、

このブログからの内部リンクや「初心者・鉛筆画のすすめ

で紹介していますので、利用してみてください。

 

では、またお会いしましょう。

空豆
またにゃ
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この記事を書いた人

北海道生まれ、武蔵野美術大学卒。東京都中野区在住。都市計画会社に入社、都市計画及び都市デザイン担当。その後、IT企業のアントレプレナーとして、ITを活用した官民の様々な業務を推進する企業内企業に従事。その後、事業プロデュース会社を設立。様々な分野の企業と顧問契約を行い、事業開発、施設開発、観光開発、商品&サービス等の開発、及びM&Aを含む上場コンサルティング等の各種事業をプロデュース。現在、アート活動の拠点として「アトリエラピス(Netではアートラピス)」を開設し、制作活動を行っている。JaAA会員(一般社団法人日本アーティストエイド協会)

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