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鉛筆画を描くー3

Masa
「アートラピス」のMasaです。鉛筆画を中心に作品制作しています。

空豆
よろしくですにゃ

前回に続き、下記の工程で

「コンパクトと黒真珠の風景」を題材に、

どのように描いているのかをご紹介しています。

鉛筆画の描き方を全6回でご紹介

1)構想を練る
2)下書きを完成させる
3)全体に色をまわす−1
4)全体に色をまわす−2
5)インクを加えて色調を整える
6)テーマとシーンに沿って完成させる

鉛筆画を描く

2)全体に色をまわす−1

鉛筆の本領発揮! 鉛筆本来の綺麗な色を最大限に引き出して、繊細に、そして、大胆に描いてみよう。

 

描ける光の幅はとても狭い 

絵画全体に、

迫力と深みのあるリアリズムを与えるための

光の捉え方について整理していきます。

まずは、

描く範囲の中で、

一番明るい所、一番暗い所を探します。

一番明るい所は、紙の白そのものの色になります。

(描き残していきます)

一番暗い所は、HB鉛筆で描いた黒になります。

(描き方の工夫でかなり黒くなります)

しかしながら、

日常で見えている明暗幅から比べれば、

絵画世界の明暗幅は、とても狭いのです!

そのため、日常で見えている明暗幅を、

いかにして紙の明暗幅に割り当てていくのかが”Key”となります。

空豆
猫は人間より暗いところが見えてるにゃ

 

光の割り当てを考える 

モチーフの一番明るい場所(ハイライト部分)は、

少し半眼にして見たくらいが

実際に紙に表現される明るさとほぼ同じになります。

モチーフの一番暗い場所は、

モチーフの組み方にもよりますが、

影の奥の方となります。

しかし、鉛筆の黒は割と明るい黒なので、

それを考慮して描く必要があります。

通常は、

日常で見えている明暗幅を、

紙の上で表現できる幅に均等に割り当てていけばいい

と思われるかもしれません。

しかし、

よりリアリティが感じられる割り当て方法としては、

明るい側と暗い側を強調して、

且つ、

全体の色調を少し暗部に寄せて描くことです。

そのように描くことで、

紙という狭い表現幅の中でも、明暗が強調され、

細やかな色の変化であっても、

明暗同士の対比的な表現が可能となるからです。

 「光について」は、後日別のブログで 詳しくお話ししたいと思います。

 

明暗の割合を設定 

このような限られた紙の中ですが、

明暗の美しさを最大限に発揮させるために、

あらかじめ、明暗ゾーンの配分を設定して、

光の流れを整理しておきます。

私の場合は、美しいと思う明暗の割合を、シーンやモチーフの種類によって変えています。

明暗の割合

暗部:明部 適用
3:7 白背景、強い光のシーン
6.5:3.5 通常のシーン(レース等が多め)
6:4 通常のシーン
7:3 夜のシーンや暗めのモチーフが多いシーン
8.5:1.5 虚空間など
※割合は明暗の面積比率を基本にしています。

今回は、夜のシーンなので、

7:3」を基本に設定して描いていきます。

 

光の流れ(道筋)を設定 

光は、光源に近い遠い、光が当たる角度、反射、透過などなど、

なかなか捉えることが難しいですね。

それは、

光が粒子であり波でもあるため、

2つの物理的要素が複雑に絡み合って

私たちの目に飛び込んでくるからです。

この複雑な光の現象を、

一遍に把握することはなかなか大変。

ですが、

複雑に見える光の現象も、

モチーフに注ぐ光の特徴ごとに

光の流れを分けることで整理できます。

 

光が光源からどのようにモチーフを通っていくのかを観察して、

光の流れ(道筋)を見つけ出し分解し設定して行きます。

今回は、スタンドからの光がメインの光となりますが、

照らし出されるモチーフの種類が多いので、

6つの光の道を設定しています。

光の流れを6種類に設定

①スタンドの点光からのグラデーションの流れ
②スタンド光がサイドボードの背後に回る流れ
③室内灯の反射が最暗部に繋がる流れ
④画面を貫くメインの流れ
⑤スタンドの点光が各モチーフを伝っていくサブの流れ
⑥室内灯の反射が奥へ回る流れ

Masa
この方法は案外便利ですよ

 

流れを意識しながら順に描いていく 

6つの流れを意識しながら、

まずは、

画面全体に重みを与えている

サイドボードの引き出し部分(色の濃い部分)から描いていきます。

「①の点光からのグラデーション」や、

「③暗部に繋がる流れ」を意識しながら、

明るい方向へ暗部の流れを描き込んでいきます。

 

スタンドの淵まで最初の色が回った所で、

画面にはないスタンドの傘部分を描き加えて、

傘の形や光の方向を調整します。

 

 

図と地を交互に意識して描く 

途中ですが、ここで一旦、

描き進めるにあたって、

「図」と「地」の関係を頭に入れておきましょう。

 

通常、

「図」は、物自体(今回はコンパクトや黒真珠など)を示し、

「地」は、その周りの空間ということになります。

初めての人ほど、「図」を中心にモチーフを眺めています。

しかしながら、

より深みのある美しさを求めるのであれば、

「地」の方に注目して、もう一度モチーフを眺めて見てください。

新たな「美のカケラ」に気づくと思います。

実は、

「地」の美しさが「図」を支えることによって、

「図」の美しさが引き立っているのです。

空豆
見方を変えるんだにゃ

「図」と「地」については、描きたい箇所や、表現したい内容等によって、

「図」になったり「地」になったりします。

例えば、

①では、背後の板壁に対して2本の支柱は「図」の役割ですが、

②では、「地」の役割になっています。

③では、背後の空間を「図」と見ているので、

2本の支柱、コンパクト、黒真珠、布などは「地」となっています。

 

図と地の両方を意識しながら、全体の色調を整えてみました。

いかがでしょうか。

 

次回は、

今回に引き続き、
全体に色をまわす後半をご紹介していきたいと思います。

全体に色をまわす−2

では、またお会いしましょう。

空豆
またにゃ

 

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この記事を書いた人

北海道生まれ、武蔵野美術大学卒。東京都中野区在住。都市計画会社に入社、都市計画及び都市デザイン担当。その後、IT企業のアントレプレナーとして、ITを活用した官民の様々な業務を推進する企業内企業に従事。その後、事業プロデュース会社を設立。様々な分野の企業と顧問契約を行い、事業開発、施設開発、観光開発、商品&サービス等の開発、及びM&Aを含む上場コンサルティング等の各種事業をプロデュース。現在、アート活動の拠点として「アトリエラピス(Netではアートラピス)」を開設し、制作活動を行っている。JaAA会員(一般社団法人日本アーティストエイド協会)

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